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仮想通貨の税金を安く!海外移住で節税するときの注意点
仮想通貨の税金は株やFXと比べて明らかに不利ですので、海外移住をして仮想通貨にかかる税金を節税したいと考える方もおられると思います。
「仮想通貨にかかる税金を安くしたい…」
「海外移住すれば節税できるの?」
「どこに移住したほうがいい?」
上記のような疑問にお答えします。海外移住をして日本の非居住者となれば、国外源泉所得税や住民税などが課税されないので、節税が期待できます。また国によっては、相続税、贈与税、固定資産税が免税になります。
このような海外移住で節税するときの注意点をまとめました。記事の後半では、仮想通貨に友好的なマルタ共和国をご紹介しますので、参考にしていただければと思います。
目次
海外移住で仮想通貨の税金を節税するときの注意点
海外移住で節税するときの注意点はおもに3つあります。
- 非居住者の条件を満たしているか
- 納税管理人が必要なケースであるか
- 国外転出時課税(出国税)の対象であるか
日本の非居住者の条件を満たしているか
日本の非居住者に該当しないと、日本にいるときと同じように税金が課されます。そのため、海外移住で税金を安くするためには、日本の「非居住者」になる必要があります。
堅苦しいとは思いますが、ここで用語の説明をさせてください。
「居住者」とは、国内に「住所」を持っている、もしくは現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人を言います。一方で「非居住者」とは「居住者」以外の個人のことです。
ここで言う「住所」とは「生活の本拠」を指しており、また「居住」とは「その人の生活の本拠という程度には至らないが、その人が現実に居住している場所」です。どちらも客観的事実によって判断されますので、よく言われる183日(1年の半分)以上、海外で滞在していても日本の「居住者」として判断されることがあります。
つまり、海外移住で日本の税金を安くするためには、日本の非居住者になるための客観的事実が必要になります。
納税管理人が必要なケースであるか
海外移住者であっても、一定の国内源泉所得があるときは、日本で確定申告が必要になる場合があります。このように非居住者の確定申告が必要なときは、納税管理人を定め、「所得税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。
納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などの事務を「非居住者」に代わってする代理人のことで、日本にいる親族や顧問税理士が納税管理人になれます。
ただし、納税管理人の行為は納税者に直接効力を生じさせますので、税理士に納税管理人を任せたほうが良いでしょう。
国外転出時課税(出国税)の対象であるか
国外転出時課税というのをご存知でしょうか。ざっくり言ってしまうと「資産を持って海外移住をするなら、日本で税金を納めなさい」という制度です。しかし、仮想通貨については「対象資産」に含まれておらず、国外転出時課税が課税されない可能性があります。
もう少し詳しく、国外転出時課税について説明させてください。国外転出時課税の対象になるのは、国外転出するときに、下記の2つの条件にいずれにも当てはまる方です。
- 所有等している「対象資産」の価額の合計が1億円以上である
- 原則として国外転出をする日前10年以内において、国内に5年を超えて住所又は居所を有している
つまり、これまで日本に住んでいて、対象資産の価値が1億円以上である方が国外転出時課税の対象になります。ここでポイントになるのは、対象資産についてです。
対象資産とは?
国外転出時課税の対象資産とは次の4つです。
- 匿名組合契約の出資の持分
- 有価証券(株式や投資信託など)
- 未決済の信用取引・発行日取引
- 未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)
上記のとおり、対象資産に仮想通貨は含まれていません。また「仮想通貨は有価証券である」という指摘もありますが、今のところははっきりとした結論が出ていません。そのため仮想通貨に国外転出時課税が課税されないと思われます。しかし、仮想通貨に関する規制は日々、更新されておりますので、詳細についてはお問い合わせいただければと思います。
仮想通貨の税金を節税するのにオススメ海外移住先はマルタ共和国
突然ですが、マルタという国をご存知でしょうか。正式名称はマルタ共和国といい、地中海のリゾート地として知られる一方で、仮想通貨に優遇な政策を取っていることでも有名です。
日本も仮想通貨の整備が進んでいると言われていますが、それ以上に進んでいるのがマルタで専門家の方々も注目しています。
ここからは仮想通貨業界に友好的なマルタについてご紹介します。
マルタの基本情報はこちら。
面積 | 316平方キロメートル(淡路島の半分) |
人口 | 約43万人 |
首都 | バレッタ |
言語 | マルタ語及び英語が公用語 |
政体 | 共和制 |
マルタは島の面積が淡路島の半分ほどしかない小さな島国ですが、公用語が英語なので、日常会話ができれば比較的住みやすい国だと思います。
小さな島国であるマルタが、仮想通貨の節税におすすめである理由をまとめましたのでご覧ください。
- 税制優遇措置がある
- 仮想通貨を奨励する法令や制度の整備
税制優遇措置がある
マルタは国際資産税を節税したい方にもおすすめです。まずマルタでは、相続税、贈与税、固定資産税が免税です。そのため、不動産などの資産を多く持つ富裕層の方は節税が期待できます。
またマルタでは法人税率が最低で5%しかかかりません。他の国と比べてみると、その差は歴然です。
国名 | 法人税 |
マルタ | 最低5% |
香港 | 8.25~16.5% |
日本 | 15~23% |
アメリカ | 21% |
このようにマルタは、相続税、贈与税、固定資産税が免税であり、法人税率が低いので、資産をお持ちの富裕層の方々に大人気です。
仮想通貨を奨励する法令や制度の整備
マルタが仮想通貨業界に注目されているのは、仮想通貨を支援する制度を整えているからです。企業にとっては、ルールが明確なほうが事業を進めやすく、香港のバイナンスなど大手仮想通貨取引所がマルタに拠点を移しています。
2018年7月には、ブロックチェーン技術の関連する法案を3つ可決しています。
- 仮想金融資産法案(Virtual Financial Assets Bill)
- 技術調整&サービス法案 (Technology Arrangements and Services Bill)
- マルタ・デジタル・イノベーション庁法案 (Malta Digital Innovation Authority Bill)
1つ目の仮想通貨金融資産法案は、ICOに関する法的な枠組みで、企業はホワイトペーパーを開示することでICOによる資金調達が行なえるようになります。
2つ目の技術調整&サービス法案は、仮想通貨サービスを提供するものに、登録や証明を求めるもので、監査ルールなどを定めて取引所を規制します。
さいごのマルタ・デジタル・イノベーション庁法案は、法的保証といった信頼性の確保を目的としたもので、マルタ・デジタル・イノベーション庁という機関を新設しました。
以上の法案は、仮想通貨を制限することが目的ではなく、企業が事業を進めやすいようにルールを整備したものになります。そのため、多くの仮想通貨企業がマルタに拠点を移し始めています。
まとめ
海外移住で節税するのは、少々ハードルが高いかもしれません。日本の非居住者になるためのスキームの構築などの他にも、ビザや法人設立の問題もあります。
しかし、不当に高い税率や規制のリスクを回避するためには、仮想通貨を支援する体制が整っている国に移住したほうが、大きなメリットを得られると思います。すでに、大手仮想通貨取引所のバイナンスなどは、仮想通貨の法整備が整っているマルタに拠点を移しました。
弊事務所では、国際税務や海外移住を検討されている方のサポートも行なっております。ご検討中の方はお気軽にお問い合わせください。
※当記事は2018年10月13日時点の情報に基づいて記載しております。現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。
ホワイトテック会計事務所
代表 菊地 貴加志
仮想通貨トレーダーの確定申告に特化しており、日本仮想通貨税務協会(JCTA)の認定仮想通貨税理士事務所。仮想通貨分野に精通しており、多くのトレーダーの税務相談を受けている。仮想通貨の節税対策からリスク管理、ブロックチェーンビジネスの支援、ICOコンサルなどフィンテック分野のサービスを主に展開している。
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