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暗号資産(仮想通貨)の分離課税はいつ導入される?最新税制改正の展望と実務への影響【2026年1月版】
※この記事は2025年4月に書かれたものを2026年1月にリライトしたものです。
結論サマリー(30秒で理解)
【政府方針決定】 令和8年度税制改正大綱にて、投資家保護等の法整備を前提に、暗号資産の「申告分離課税化(一律20%)」が明記された。
【対象】 国民の資産形成に資する暗号資産に限定し、現物取引・デリバティブ・暗号資産ETFが対象となる。
【新制度】 損失の「3年間の繰越控除」が創設。
【時期】 令和9年(2027年)1月1日以降の取引から適用される見通し。
目次
暗号資産の分離課税化等:大綱で示された具体的な内容
2025年12月19日、これまでの「web3ワーキンググループによる提言」の段階から一歩進み、令和8年度税制改正大綱において、以下の具体的な制度設計が示されました。
- 分離課税の対象範囲と税率
投資家保護のための説明義務などの健全な取引環境の構築を前提として、以下の所得が20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税となります 。
• 現物取引
• デリバティブ取引
• 暗号資産ETF(投資信託の受益権)
- 損失の繰越控除の創設
国民が安心して市場に参加できる環境を整える観点から、3年間の繰越控除制度が新たに創設されます 。 これにより、ある年に発生した損失を翌年以降3年間にわたって利益と相殺できるようになり、株式やFXと同様のタックスプランニングが可能になります 。 - 適用開始時期
制度の適用は、金融商品取引法の改正法施行日の属する年の翌年1月1日(適用開始日)以後に行う取引からとなります 。 大綱のスケジュールを勘案すると、令和9年(2027年)1月からの開始が有力なシナリオです。
暗号資産(仮想通貨)の分離課税導入時のメリット・デメリット
ここで分離課税が導入された場合の納税者への影響をまとめると以下のようになります。
◎ 最高税率55% → 20%(住民税含めて一律約20%)となり、高額納税者の負担が大幅軽減。
◎ 分離課税対象の取引について、年度ごとの総合課税累進率を気にせず、タックスプランニングが容易。
× 売買以外の取引(エアドロップ、ステーキング、レンディング等)や海外取引所の利用がある場合に、総合課税/分離課税の雑所得/譲渡所得が発生することによって損益計算及び確定申告のハードルが格段に上がりうる。
× 所得税率5%層(年330万円以下)など、総合課税が有利なケースも依然存在。
× 海外転出時に含み益部分に課税(予想)。
暗号資産(仮想通貨)の分離課税が適用される条件とは?限定事項・範囲について考察します。
暗号資産取引業者(※1)に対して行った特定暗号資産(※2)の譲渡等が分離課税の譲渡所得となり、暗号資産取引業者に対して行った特定暗号資産のデリバティブ取引が分離課税の雑所得となります。
※1 金融庁の登録を受けた国内取引所等
※2 金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等
保有銘柄によってはあまり嬉しくないと感じる人もいるかもしれません。しかし一方で、分離課税導入をきっかけに暗号資産(仮想通貨)取引が活発化することで将来的に国内取引所の取扱銘柄が増えることも期待できるといえます。
また現物取引に適用される分離課税については適用開始日以降の譲渡を対象としていることから、過年度に取得した暗号資産(仮想通貨)についても分離課税の対象として認められる公算が大きいです。
源泉徴収制度(特定口座)の可能性
分離課税が導入されることになると将来的には株式等と同様に特定口座による源泉徴収制度が導入されるかもしれません。株式等の取扱いを参考にすると制度のイメージは以下のようなものになると考えられます。
| 特定口座 (源泉徴収あり) | 特定口座 (源泉徴収なし) | 一般口座等 | |
| 暗号資産の範囲 | ・当国内取引所の特定口座で購入したもの ・他の国内取引所特定口座から移管されたもの | ・左以外のもの (海外取引所、ウォレット保有分含む) | |
| 取得費の計算方法 | 特定口座ごとに総平均法又は移動平均法で計算 ※取引所側で損益計算 | 特定口座以外のもの全てを合算して総平均法又は移動平均法 ※納税者側で損益計算 | |
| 概算取得費の適用 | 不可 | 不可 | 可 |
| 課税方法 | 源泉分離課税 | 申告分離課税 | 申告分離課税 |
| 申告義務 | なし | あり | あり |
ただし、暗号資産(仮想通貨)では複数取引所を用いて取引所間の送金を行うことが一般的ですから、取得費の計算を特定口座ごとに行うことには問題があるかもしれません。
このため、特定口座の開設は1社のみとする等の暗号資産(仮想通貨)独自の制限がかかることもあり得るのではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q. 海外取引所の損益はどう扱われますか?
A. 現段階では総合課税のまま残ることになります。
Q. NFTは分離課税対象になりますか?
A. NFTは暗号資産と異なり金融商品の枠組みではないため、今回の改正の対象ではなく、将来的にも対象になる可能性は低いと考えます。
Q. キャピタルゲイン以外のエアドロップやステーキング報酬は?
A.今回の改正では分離課税の対象として挙げられていませんが、将来的に分離課税が適用される可能性もあると考えます。
まとめ
以前から期待されていた暗号資産(仮想通貨)に対する分離課税の導入がより具体化され大きく前進しました。
一方で分離課税が導入されたとしても、総合課税として据え置かれる取引がある場合や、譲渡所得と雑所得が混在する場合など実務負担は大きくなることが予想されます。当事務所ではCSVデータの整理から税額シミュレーションまでワンストップでサポートしております。
※当記事は2026年1月時点の情報に基づいて記載しております。現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。
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