[ 土・日・祝日除く]
ブログ
List of Blogs
上場株式とFXで損失が発生したときは損益通算できる?繰越控除は?
急な相場変動により、上場株式投資やFX取引で大きな損失を出してしまった方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では下記のような疑問にお答えします。
「上場株式投資やFX取引の損失は繰越ができる?」
「他の所得と損益通算はできる?」
結論から言うと、国内FXの損失と上場株式の利益を損益通算することはできません。 両者は税務上の所得区分が異なるためです。
ただし、それぞれ以下のルールで節税が可能です。
■損益通算の範囲
・上場株式: 配当所得と損益通算が可能です。
・国内FX: FX同士、または日経225先物等の「先物取引に係る雑所得」内でのみ通算可能です。
・海外FX: 総合課税の雑所得内でのみ、原則通算可能です。
■繰越控除の可否
・上場株式・国内FX:確定申告を行うことで、損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。
・国内FX:確定申告を行うことで、「先物取引に係る雑所得」内でのみ、損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。
・海外FX: 損失の繰越控除はできません。
目次
上場株式等の譲渡損失が発生したときの税金について
上場株式等の売買で損失が発生した場合、2つの節税対策があります。
1.配当所得と損益通算
2.繰越控除
配当所得と損益通算
上場株式等の譲渡損失は、配当所得と損益通算が可能です。
たとえば上場株式等の譲渡損失が100万円で、配当所得が150万円の場合、損益通算が可能なので配当所得は50万円となります。
一方で上場株式等の譲渡損失は、配当所得以外の所得とは損益通算ができません。
たとえばサラリーマンが株式投資で損失が発生しても、給与所得と損益通算をすることはできないです。
また上場株式等の譲渡損失と配当所得を損益通算するときは、配当所得の課税方法に注意してください。
というのも配当所得の場合、「総合課税」と「申告分離課税」から課税方法を選択できるのですが、「申告分離課税」を選ばなければ譲渡損失と損益通算ができません。
場合によっては、譲渡損失をあえて配当所得と損益通算せずに、翌期に繰越したほうが有利になることもあります。
このあたりはシミュレーションしてみたほうがいいと思います。
譲渡損失の繰越控除
上場株式等の譲渡損失は、翌期以降3年間にわたって繰越すことができます。
2020年で100万円の譲渡損失を翌期に繰越し、2021年で150万円の譲渡所得が発生したとしましょう。
2021年の譲渡所得150万円には、2020年の繰越控除100万円が適用できるので、譲渡所得を50万円まで引き下げることができます。
繰越控除を適用するにあたって注意すべき点を挙げると、譲渡損失の繰越控除を適用するには、計算明細書をつけて確定申告をしなければいけません。
そのため、「赤字だから申告しない」というのは非常にもったいないです。
もし譲渡損失が発生してしまったときは、確実に申告して損失を繰り越すことにしましょう。
続いて、FXで損失が出たときについて解説します。
FXで損失が 発生したときの税金について
FXで損失が発生したときも、2つの節税対策があります。
海外FXの話も含めると複雑になってしまうので、ここでは国内FXに限定して解説していきます。
1.損益通算
2.繰越控除
FXの損益通算
FXで稼いだ所得は、「先物取引に係る雑所得等」に区分され、同じ所得区分でないと損益通算はできません。
「先物取引に係る雑所得等」に当てはまる取引の例を挙げると、日経225先物取引、日経225先物オプション取引、商品先物取引など、範囲はかなり狭いです。
該当する取引をしていれば損益通算は可能ですが、範囲がかなり限定的ですのでFXで損益通算することは難しいと考えておいた方が良いでしょう。
FXの繰越控除
FXの損失も、上場株式の譲渡損失とおなじように、翌期以降3年間にわたって繰越せます。
FXで繰越控除を適用する場合にも、FXの損失に関する計算明細書をつけて申告することが要件となっておりますので、損失が発生した場合でもしっかりと申告をしておきましょう。
FXはハイリスク・ハイリターンなので、損失が出たときは翌期に繰越し、翌年の節税に備えるべきです。
【結論】
- 上場株式等の損失
- 同じ年の「上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択した場合)」とは損益通算ができる。
- 翌年以降3年間、上場株式等の譲渡益や配当所得から繰越控除できる。
- 給与所得や事業所得など、他の所得とは損益通算できない。
- 国内FX(店頭FX・くりっく365など)の損失
- 「先物取引に係る雑所得等」の範囲内(日経225先物、商品先物、CFDなど)であれば同一年分で損益通算ができる。
- 同じ「先物取引に係る雑所得等」の黒字について、翌年以降3年間まで繰越控除ができる。
- 給与、事業、不動産、上場株式等の譲渡所得など、他の所得区分とは損益通算できない。
- 海外FXの損失
- 原則「雑所得(総合課税)」で、損失の繰越控除はできない。
- 同一年中の他の雑所得との損益通算が可能かは、所得の性質(継続性・同一性など)により取扱いが分かれる余地があるため、個別に税務署や税理士へ確認が必要。
- 国内FXの利益や給与所得などとは損益通算できない。
所得区分と通算・繰越の早見表
| 区分 | 主な対象 | 同一年での損益通算相手 | 繰越控除 | 繰越先の相手 |
|---|---|---|---|---|
| 上場株式等の譲渡所得等 | 上場株式、ETF等 | 上場株式等の配当(申告分離選択分)、同区分の利益 | 3年 | 上場株式等の譲渡所得等、上場株式等の配当所得等 |
| 先物取引に係る雑所得等 | 国内FX、くりっく365、先物等 | 同じ「先物取引に係る雑所得等」の利益 | 3年 | 同じ「先物取引に係る雑所得等」の利益 |
| 雑所得(総合課税) | 暗号資産(仮想通貨)、海外FX、アフィリエイト等 | 原則、他の雑所得との通算はあり得るが取扱注意 | 繰越不可 | なし |
| 給与所得 | サラリーマン給与 | 原則、他区分の損失と通算不可(例外除く) | 繰越不可 | なし |
よくある質問(FAQ)
Q1. 上場株式の損失は、必ず配当と相殺した方が得ですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。
上場株式等の譲渡損失は、その年の上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したもの)と損益通算できますが、あえて通算せずに損失を翌年以降に繰り越した方が有利になるケースもあります。
配当控除との関係や、社会保険料への影響、翌年以降の譲渡益の見込みなどを踏まえ、シミュレーションした上で判断し、迷う場合は税理士等に相談することをお勧めします。
Q2. NISA口座で出た株の損失も、損益通算や繰越控除の対象になりますか?
A. いいえ、なりません。
NISA口座やジュニアNISA口座内で発生した損失は、税法上は損益通算および繰越控除の対象外とされています。
損失が出ても、他口座の利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりすることはできません。
Q3. 国内FXの損失は、株の利益や給与と相殺できますか?
A. できません。
国内FXの損失は「先物取引に係る雑所得等」に区分され、この区分内の黒字(国内FX、くりっく365、日経225先物、商品先物、CFD等)のみと損益通算・繰越控除が可能です。
上場株式の譲渡益や配当所得(申告分離課税)、給与所得、事業所得などと相殺することはできません。
Q4. 国内FXで損失が出た年は、赤字なので確定申告しなくても大丈夫ですか?
A. 「税額がゼロでよい」という意味では申告義務がないケースもありますが、繰越控除を使うつもりなら必ず確定申告が必要です。
損失が出た年に「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」などを添付して申告しておかないと、翌年以降3年間の繰越控除が使えません。
株の損失についても同様に、損失が出た年から連続して申告が必要です。
Q5. 海外FXの損失は、国内FXの利益や給与と通算できますか?
A. できません。
海外FXは通常「雑所得(総合課税)」として扱われる一方、国内FXは「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象であり、所得区分・課税方式が異なるため、損益通算は認められていません。
また、海外FXの損失を翌年以降に繰り越して控除することもできません。
Q6. 海外FXの損失と、同じ年のアフィリエイト収入など他の雑所得は通算できますか?
A. 原則として「同じ雑所得の区分内」であれば損益通算はあり得ますが、取引の実態や所得の性質によって取扱いが分かれる可能性があるため、個別に税務署や税理士への確認をお勧めします。
いずれにしても、海外FXの損失については、翌年以降への繰越控除はできません。
まとめ
上場株式の譲渡損失およびFX取引で損失が出てしまったときは、損益通算と繰越控除を検討すべきでした。
上場株式の譲渡損失については、配当所得と損益通算が可能で、翌期以降3年間は損失を繰越せます。
一方でFXの場合は、他の所得区分と損益通算はできませんが、損失の繰越は3年間できます。
上記のどちらも、計算明細書をつけて確定申告をすることが要件となっておりますので、ご留意ください。
※当記事は現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。
[ 土・日・祝日除く]