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2018年05月18日

暗号資産の税務調査・お尋ねが来たら?調査官が見るポイントと対策

CONCLUSION / 結論

暗号資産の税務調査で最も重視されるのは「取引の網羅性」です。計算ミスは過失として扱われますが、取引の集計漏れは意図的な脱税と判断されるリスクがあります。

調査の連絡が来ても慌てないために、調査官が見るポイントと事前準備を把握しておきましょう。すでに調査の通知が届いている方は、早めに専門家へご相談ください。

暗号資産(仮想通貨)の確定申告について、税務署から「お尋ね」の文書が届いたり、税務調査の連絡が来たりして不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

税務調査への対応には、暗号資産の税務に関する専門知識と、調査手続きに関する正確な理解(国税通則法74条の2第1項第1号に定める質問検査権など)の両方が求められます。この記事では、調査官がどのような視点で調査を進めるかと、過少申告を疑われないための具体的な準備をご説明します。

きちんと申告している方は、調査官の質問に自信を持って答えられるよう、ポイントを押さえておきましょう。

この記事でわかること

  • 税務調査官が暗号資産の調査で特に着目する3つのポイント
  • 取引の集計漏れが「脱税」と判断されやすい理由
  • 調査で指摘されないための事前準備と証拠保全の方法
  • 調査の連絡が来た後の対応の流れ

1. 税務調査官が着目する3つのポイント

暗号資産の税務調査では、調査官は主に以下の3点を確認します。それぞれの内容と、調査官がどのような視点で見ているかを把握しておきましょう。

1-1. 損益計算の正確性

暗号資産の損益計算は、cryptactやGTaxなどの専門ツールを使うケースが大半ですが、同じ取引データを使っても計算ツールによって数百万円単位の差異が生じることがあります。また、ツールのアップデートのタイミングによっても結果が変わる場合があります。

各ツールの利用規約には免責条項が設けられており、計算結果の正確性はユーザー自身の責任とされています。エクセルで手計算した場合は、計算式の誤りがないか改めて確認しましょう。

POINT / 計算ツールを使っていても過失として扱われる場合がある

「ツールに任せていたから知らなかった」は申告者の免責にはなりません。ツールの出力結果を確認し、不自然な数値がないかをご自身でも検証することが重要です。

1-2. イレギュラー取引の税務処理の妥当性

ステーキング報酬・DeFiの流動性提供・NFT取引・貸付取引など、国税庁の通達で処理方法が明確に定まっていない取引については、租税原則や関連法令の趣旨に照らして合理的な処理をしているかが確認されます。

不当に税負担を減らすような処理が行われていないか、取引ごとに処理の根拠を整理しておくことが重要です。

CAUTION / 「前例がない取引だから申告しなかった」は通用しない

税法上の処理が未確定であっても、課税の対象とならないわけではありません。処理方法に迷う取引については、専門家に相談した上で根拠を記録しておくことを強くお勧めします。

1-3. 取引の網羅性(集計漏れがないか)

税務調査において最も重視されるのが、取引の網羅性です。計算ミスは過失の可能性がありますが、取引の集計漏れは意図的な過少申告と判断されるリスクが高く、脱税として認定される可能性もあります。

集計漏れが生じやすい取引の例は以下のとおりです。

  • 海外取引所の取引データを損益計算に含めていない
  • ICO・IEOに関する取引を集計対象から外している
  • 取引所を経由しない相対取引(現金換金業者との取引)を申告していない
  • DeFiやNFTの取引を申告から漏らしている
  • 複数ウォレット間の送金を未処理のまま放置している

2. 過少申告を疑われないための具体的な対策

調査官はどのような方法で集計漏れを発見するのでしょうか。発見されやすいケースとその対応策をご紹介します。

2-1. 期末残高の整合性を確認・保存する

損益計算の結果から算出される期末の保有数量と、各取引所・ウォレットの実際の残高が一致しているかを確認しましょう。集計漏れがある場合、保有残高がずれることが多く、調査官に指摘されるきっかけになります。

POINT / 毎年12月31日深夜0時の残高をスクリーンショットで保存

各取引所・ウォレットの年末残高を画像で保存しておくと、損益計算の検証に使えます。毎年の習慣にしておくことをお勧めします。

2-2. 二段階認証アプリの登録状況を整理する

税務調査では、Google Authenticatorなどのニ段階認証アプリに登録されている取引所と、申告内容の整合性を確認される場合があります。登録はしているが取引実績のない取引所がある場合は、入出金履歴や取引明細を事前に準備し、説明できる状態にしておきましょう。

申告していない取引所が発見された場合、簿外資産の保有を疑われる可能性があります。

2-3. 相対取引(OTC取引)は特に慎重に

取引所を経由せずに現金化する相対取引(OTC取引)は、マネーロンダリングを疑われるリスクがあるほか、税務処理が複雑になるケースがあります。

相対取引先に税務調査が入り脱税が発見された場合、反面調査として取引相手にも調査が及ぶ可能性があります。相対取引を行っている場合は、暗号資産の税務に精通した税理士へ早めにご相談ください。

3. 税務調査の流れと対応の心構え

3-1. 「お尋ね」と「税務調査」の違い

「お尋ね」は税務署から送付される任意の照会文書で、法的な調査権限を伴うものではありません。一方、正式な税務調査(実地調査)は国税通則法に基づく手続きであり、調査官が直接訪問して帳票類の確認や質問を行います。

区分法的根拠対応のポイント
お尋ね(照会文書)任意の行政指導無視せず、期限内に回答する
税務調査(実地調査)国税通則法74条の2顧問税理士に同席を依頼する

3-2. 調査の通知が来たらまず専門家へ

税務調査の連絡は、顧問税理士がいる場合にはまず税理士のもとに届くのが基本です。自分で申告していた場合でも、調査通知が届いた段階で税理士に相談することをお勧めします。調査の前に申告内容を整理し、必要な書類を準備しておくことで、適切な対応が可能になります。

EXPERT NOTE / 修正申告と更正の違い

調査の過程で申告漏れが発覚した場合、自ら修正申告を提出するか、税務署側に更正処分を受けるかによってペナルティの内容が異なる場合があります。対応方針は必ず専門家と相談の上で決定してください。

4. よくある質問

取引所のデータは税務署にばれているのですか?

国税庁は租税条約等に基づく情報交換制度により、海外当局から日本居住者の取引情報を取得できる体制を整えています。また、国内取引所には支払調書の提出義務があり、一定の利益を超える場合には税務署に情報が提供されます。「ばれない」という前提での行動は非常にリスクが高く、正確な申告が最善の対策です。

調査の連絡が来る前に自分で申告し直したほうがいいですか?

申告漏れに気づいた場合、税務調査の前に自主的に修正申告(過去の申告に漏れがある場合)または期限後申告(未申告の場合)を行うことで、ペナルティが軽減される可能性があります。調査の連絡が届いてからでは軽減効果が小さくなるため、心当たりがある方は早めに専門家にご相談ください。

追徴税額はどのくらいになりますか?

追徴税額は、申告漏れの所得金額・税率・加算税・延滞税によって異なります。過少申告加算税は原則10〜15%、重加算税(仮装・隠蔽があると判断された場合)は35〜40%が本税に上乗せされます。さらに延滞税(年2.4〜8.7%程度)も加算されるため、申告漏れ期間が長いほど負担は大きくなります。具体的な金額は個別の事情によるため、まずはご相談ください。

税金が払えない場合はどうなりますか?

納税額が一括で支払えない場合、税務署に相談することで分割納付(換価の猶予・納税の猶予)が認められるケースがあります。何も対応しないまま放置すると、財産の差し押さえに至る可能性があります。資産を売却済みで手元に資金がない場合も含め、早期に税務署または税理士に相談することが重要です。

調査官に何を聞かれますか?

主に、①利用している取引所・ウォレットの一覧、②取引データの取得方法と損益計算の方法、③イレギュラー取引(相対取引・DeFi・NFTなど)の内容と処理根拠、④取引に使用した銀行口座などが確認されます。事前に取引履歴・損益計算書・入出金明細を整理しておくと、スムーズに対応できます。

海外取引所の取引を申告していませんでした。どうすればいいですか?

まず、該当年度の取引データを取引所からダウンロードし、損益計算を行った上で申告漏れの金額を把握することが最初のステップです。自主的な修正申告・期限後申告を行うことで、ペナルティの軽減につながる可能性があります。海外取引所の取引データ取得・損益計算・申告対応はすべて当事務所にてサポートしております。

税務調査は何年前まで遡って調べられますか?

通常の更正・決定は申告期限から5年以内です。ただし、偽りや不正行為(仮装・隠蔽)があると判断された場合は7年まで遡及できます。暗号資産取引については過去の申告状況を含め確認されることがあるため、取引データは少なくとも7年分を保管しておくことをお勧めします。

暗号資産の税務調査・お尋ねでお困りの方へ

調査への対応・過去の申告漏れへの対処・修正申告まで、暗号資産・Web3税務の専門家(公認会計士・税理士)が対応いたします。調査通知が届いてからでも対応可能です。まずはスポット相談からお気軽にどうぞ。

【免責事項】本記事は執筆時点(2026年6月)の法令・通達・国税庁FAQに基づく一般的な税務情報の提供を目的としており、特定の取引の推奨・投資助言ではありません。実際の税務判断は個別の事実関係により異なるため、必ず税理士へご相談ください。

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