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2019年08月12日

中小企業経営強化税制を利用したマイニング投資の節税

~令和5年3月追記~

【税制改正によるマイニング節税の制限】

令和5年3月28日に成立した令和5年度税制改正法案によって、中小企業経営強化税制の適用期限が令和7年3月31日まで延長されることとなると同時に、一部の事業について対象から除外されることとなりました。

「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象からコインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。」

このため、令和5年4月1日以降はマイニングの管理運営の殆どを委託して行うような事業については、中小企業経営強化税制の適用を受けられないこととなります。

【改正前のマイニング節税に対する否認事例】

また、改正前に本税制の適用を受けていたものについても注意が必要です。マイニングの業務委託について、国税不服審判所が、「事業の用に供したとは認められない」ことを理由に、事業所得でなく雑所得であるとの判断を示した事例があるからです。このような事例があったからこそ今回の改正に至ったと言えますので、マイニング投資を検討している方はご注意ください。

中小企業経営強化税制って、なに?

中小企業経営強化税制とは、青色申告の承認と中小企業等経営強化法の認定を受けた中小企業者等(個人事業主含む)が受けられる税制優遇制度になります

経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得し、指定事業の用に供した場合、即時償却または税額控除を選択適用することができる制度になります。

即時償却とは、本来は設備ごとに定められた耐用年数に渡って処理する減価償却を、設備を購入した初年度に「100%」全額を経費(損金)として計上することができる制度です。法人税は課税所得に基づいて課されますが、大幅な売上があり所得が伸びてしまった年などはそれに伴って法人税も増えてしまいます。しかし、即時償却して損金として計上することで、課税所得を抑え、支払う法人税を抑えることができます。「中小企業経営強化税制」の即時償却を利用することで、当期の大幅な法人税の抑制が期待できます。

この即時償却とは別に、税額控除を選択することもできます。税額控除は取得価額の7%(中小企業者は10%)相当額を税額から控除することができます。ただし、控除できる金額の限度があるので、その点は留意すべき点となります。

中小企業経営強化税制の目的は、中小企業の設備投資を手助けするために税制メリットを与えたものなのです

マイニング投資って、なに?

仮想通貨は「マイナー」によって、取引が計算記録されており、不正が起きないように管理されています。「マイナー」とはマイニングを行う人々のことを指し、マイニング(発掘)とは、その計算作業に対して報酬(仮想通貨)が支払わることをいいます。

マイニングの種類は多々ありますが、基本的なやり方は高性能のGPUやマイニング専用マシンのASICを用いて行います。このマイニング専用マシンを購入して、マイナーになることをマイニング投資と言います。

他の投資型節税商品とはなにがちがうの?(メリット・デメリットについて)

投資商品 保険 不動産  中小企業経営強化税制を利用したマイニングマシン
投資金額 数十万円~ 数千万円~ 1台当たり30~100万円
償却(費用) 初年度であるが、50%損金型が多い 減価償却の対象は建物のみ(土地は×)

 

数十年で減価償却

初年度・100%即時償却
メリット 解約返戻金がスケジューリングされているため、計画を立てやすい。 不動産市況は比較的安定している。 初年度・100%即時償却が可能。

 

BTC時価を固定とした場合に想定利回り60%超の商品もあり。

デメリット 返戻率が100%下回ることもあり、利回りが低い。長期的なタックスプランが必要。 最低投資金額が大きい。

 

費用として計上できるのは建物のみ。維持管理費次第では利益がマイナスになることもあり。

仮想通貨の時価の変動リスクがある。

上記の通り、各投資商品によってメリットデメリットがあるので、リスク愛好度に応じて適切にポートフォリオを組むことをオススメします。

中小企業経営強化税制の最大のメリットといえるのが「100%即時償却」です。保険や不動産は長期的なタックスプランがあって初めて効果がでるものです。

当年度にスポットの大型案件による利益等があれば、中小企業経営強化税制を利用する効果は大きいでしょう。

またマイニングマシンの場合、仮想通貨の相場次第で、自己資金に対し200%以上の回収も十分に可能であり、ポテンシャルが高いのも特徴です。

中小企業経営強化税制の申請手続のスケジュール

マイニング投資で中小企業経営強化税制を利用する場合は、原則B類型による申請が必要になります。B類型は「経済産業局による確認書」が必要になります。大まかな手続きは以下の通りです。

  1. 投資計画案を策定し、「B類型様式1(申請書)」を作成する。
  2. 公認会計士または税理士にチェックしてもらい、「B類型様式2(事前確認書)」を発行してもらう。
  3. 経済産業局に「B類型様式1(申請書)」と「B類型様式2(事前確認書)」を提出し、確認書の発行申請をする。
  4. 約1ヶ月後に経済産業局から「B類型様式3(確認書)」が発行される
  5. 「経営力向上計画に係る認定申請書」を作成し、「B類型様式3(確認書)」を添付して、各担当省庁に提出。約1ヶ月後に担当省庁から「認定書」が発行される
  6. 対象設備を取得し事業に使用する。確定申告時に「即時償却」や「税額控除」を適用する。
  7. 3年間実施状況報告書を提出する

申請から認定までに最低2ヶ月程度の期間が必要になりますので、スケジュールは特にご注意下さい。

ご自身の法人の決算期から逆算して申請する必要があります。余裕をもって3か月前から手続きを進めることをオススメします。

「経済産業局による確認書」の詳しい取得方法につきましては、経済産業省(中小企業庁)が発行している「経済産業局による確認書の取得の手引き」などをご覧ください。

その他の留意点

  • 当年度において即時償却を適用する場合には、当年度末までに中小企業経営強化税制の認定を受け、事業の用(納品及び稼働)に供している必要があります。
  • 経済産業局への申請の後に資産を取得する必要があります。
  • 設備を先に購入した場合は取得してから60日以内に「経営力向上計画」の申請をし、「経営力向上計画」の認定を年度内に受ける必要があります。
  • 器具備品の1台あたりの取得価額が30万円以上でないと即時償却は適用できません。
  • 対象企業は、青色申告の承認を受けた中小企業者等になります。同一の大規模法人(資本金1億円超の法人等)に2分の1以上の出資を受けている法人や、2社以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている法人は除かれます。
  • 投資収益率が年平均5%以上の投資計画でないと適用できません。
  • マイニングマシンによって得られる利益は「マイニング時の仮想通貨の枚数 × 仮想通貨の時価」で収益計上する必要があります。仮想通貨を入手した履歴を正しく記録し、正しく会計帳簿に取り組む必要があります。
  • 経営力向上計画の認定を受けた場合には、投資計画の実施状況について3年間の報告義務があります。

まとめ

法人経営者には大変メリットのある中小企業経営強化税制を利用したマイニング投資のご紹介でした。

マイニング投資の節税に関しては以下の記事でも解説していますので、ご参考ください。

暗号資産(仮想通貨)マイニング投資の節税について、解説します

マイニング業者の中でも実機確認ができず高配当を謳っている詐欺的な商材もあるので、十分にご注意ください。

中小企業経営強化税制の手続代行や信頼できるマイニング機器の販売会社はご紹介できますので、興味がある方はお問い合わせページよりご連絡ください。

また青色申告の承認を受けていない個人投資家はこちらの制度を利用できません。個人投資家の節税対策は別の方法で対策しましょう。

※当記事は2019年8月12日時点の情報に基づいて記載しております。現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。

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