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2021年07月26日

暗号資産(仮想通貨)マイニング投資の節税について、解説します

~令和5年3月追記~

【税制改正によるマイニング節税の制限】

令和5年3月28日に成立した令和5年度税制改正法案によって、中小企業経営強化税制の適用期限が令和7年3月31日まで延長されることとなると同時に、一部の事業について対象から除外されることとなりました。

「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象からコインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。」

このため、令和5年4月1日以降はマイニングの管理運営の殆どを委託して行うような事業については、中小企業経営強化税制の適用を受けられないこととなります。

【改正前のマイニング節税に対する否認事例】

また、改正前に本税制の適用を受けていたものについても注意が必要です。マイニングの業務委託について、国税不服審判所が、「事業の用に供したとは認められない」ことを理由に、事業所得でなく雑所得であるとの判断を示した事例があるからです。このような事例があったからこそ今回の改正に至ったと言えますので、マイニング投資を検討している方はご注意ください。

マイニングとは?

暗号資産(仮想通貨)のマイニングとは、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)をマイニング(採掘)する仕組みのことを指していて、具体的には、新たなブロックを生成しその報酬として暗号資産(仮想通貨)を手に入れる行為のことをマイニングと呼んでいます。

マイニングのやり方には、ソロマイニング、クラウドマイニング、プールマイニングの3種類があり、ソロマイニングは自分自身で設備を用意し一人でマイニングを行なう方法、クラウドマイニングはマイニングを行っている団体に出資し代わりにマイニングを行ってもらう方法、プールマイニングはグループでマイニングを行う方法のことをそれぞれそう呼んでいます。

マイニング報酬はどうやって税金計算するの?

令和2年12月に国税庁より発表された「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」では、暗号資産(仮想通貨)をマイニングにより取得した場合、その所得は所得税又は法人税の課税対象になるという見解が示されています。

マイニング等により暗号資産(仮想通貨)を取得した場合、その取得した暗号資産(仮想通貨)の取得価額(時価)については所得の金額の計算上、総収入金額(法人税においては益金の金額)に算入され、マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費(法人税においては損金の額)に算入されることになるとされています。

▼令和2年12月国税庁発表「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf

マイニング投資が節税になるとは?

マイニング投資の節税って聞いたことありませんか?

マイニング事業への投資がどのように節税になるのでしょうか。

マイニングの税金計算方法で説明したように、マイニング等に要した費用については必要経費として所得から差し引くことができるため、その分所得が減る=税金が減るということに繋がります。

つまり、マイニング機器を購入し、その費用を経費として計上するということになります。

取得費が10万円未満のマイニング機器

取得費用が10万円未満のマイニング機器は、減価償却資産ではなく「消耗品費」として1度に経費計上できると考えられています。

ただし、10万円以上のマイニング機器は税務上では固定資産に該当し、その購入費用の全額を1度に経費にすることができず、購入から数年間に渡って少しずつ経費として計上していかなければなりません。(減価償却といいます)

グラフィックボードの単価等が上昇し、1台当たり10万円未満で購入することは現在では難しい状況です。

減価償却

マイニング機器は一般的にはパソコンに分類され、パソコンの税務上の償却年数は4年と定められています。したがって、購入から4年間に渡って、少しずつ経費計上することになります。

経費にしていく方法は「定額法」と「定率法」があり、定額法は毎年一定の金額を経費として計上する方法、定率法は残存簿価に対して毎年一定の割合で経費として計上していく方法です。

なお、細かい話になりますが、法定償却方法は、個人は定額法、法人は定率法、として定められており、仮に償却方法を変更したい場合には事前に税務署へ届出を提出することが必要となります。

一括償却

10万円以上のマイニング機器でも、20万円未満のものであれば、一括償却資産として3年間で均等に償却することができます。

一括償却は通常のパソコンの償却年数である4年よりも償却期間が短い上に、月の途中で取得したとしても月割り計算をする必要がなく、1年分の償却が可能なため、節税に有利です。

少額減価償却資産の特例

中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。

ただし、この特例を適用するためには、次の要件を満たさなければなりませんので、注意が必要です。

・青色申告書を提出する中小企業者(※)であること

※大企業のグループ会社を除いた資本金1億円以下の法人

 資本金のない法人は、常時使用する従業員の数が1,000人以下

・適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円以下であること

中小企業経営力強化税制

1台当たり30万円以上のマイニング機器であっても、1年間で全額を経費として計上することができる場合があります。

それは、中小企業経営力強化税制と言って、経済産業省の認可を受けた一定の設備に対する取得費用は、その全額を1年で経費として計上することが認められている制度があるためです。

中小企業経営力強化税制については、以下の弊所の過去ブログで解説していますので、よろしければご参照ください。

▼中小企業経営強化税制を利用したマイニング投資の節税

マイニング事業のメリット・デメリット

マイニング事業のメリットとしては、その節税効果だけではなく、マイニング事業による収益化が見込める点が挙げられます。

暗号資産(仮想通貨)の市況によってはかなりの高利回りとなることもあり、実際に弊所のクライアント様で、マイニング事業に投資をした方は、本業以上に利益が出ているといった事例も多数存在します。

一方、デメリットとしては、マイニング事業の収益は暗号資産(仮想通貨)の市況に大きく左右されるため、安定的ではない点が挙げられます。

暗号資産(仮想通貨)はボラティリティが大きく、値動き等によっては、節税効果やマイニングによる収益を考慮したとしても、投資した金額を下回ってしまうリスクがあります。

そういったリスクを一切許容できない人にはあまりお勧めできません。

留意点

マイニングに投資する上で留意しておかなければならない点として、信頼できる業者を選ぶということが非常に重要です。

高額な報酬をうたい、暗号資産(仮想通貨)のマイニングを勧誘する投資詐欺事案も多数確認されており、「マイニング投資 詐欺」などでネット検索を行なうと、注意喚起からその手口について、非常に多くのページがヒットします。

マイニングに投資する際には、その業者の実態や実機確認、マイニング報酬の支払方法(稼働状況をアプリで確認できるか、マイニング報酬が直接ウォレットに入金されるかなど)について、しっかりと確認するようにしましょう。

暗号資産(仮想通貨)の投資詐欺については、弊所の過去ブログでも解説していますので、もしよろしければご参照ください。

▼暗号資産(仮想通貨)の投資詐欺に注意!税金についても解説します。

また各国の暗号資産に対する規制も大きく影響してしまうので、預け先のマイニングファームをどこにするかも注意が必要です。

※当記事は2020年6月時点の情報に基づいて記載しております。現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。

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