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2020年09月03日

上場株式とFXで損失が発生したときは損益通算できる?繰越控除は?

コロナショックで、上場株式投資やFX取引で大きな損失を出してしまった方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では下記のような疑問にお答えします。

「上場株式投資やFX取引の損失は繰越しができる?」

「他の所得と損益通算はできる?」

上場株式の譲渡損失および国内FXの損失のどちらも、翌期以降3年間は繰越ができます。(海外FXは繰越不可)

上場株式の譲渡損失と配当所得は損益通算できますが、国内FXでは通算可能の範囲が一定の先物取引のみであり範囲が限定的です。(海外FXは雑所得内での通算は可)

上場株式等の譲渡損失が発生したときの税金について

上場株式等の売買で損失が発生した場合、2つの節税対策があります。

1.配当所得と損益通算

2.繰越控除

配当所得と損益通算

上場株式等の譲渡損失は、配当所得と損益通算が可能です。

たとえば上場株式等の譲渡損失が100万円で、配当所得が150万円の場合、損益通算が可能なので配当所得は50万円となります。

一方で上場株式等の譲渡損失は、配当所得以外の所得とは損益通算ができません。

たとえばサラリーマンが株式投資で損失が発生しても、給与所得と損益通算をすることはできないです。

また上場株式等の譲渡損失と配当所得を損益通算するときは、配当所得の課税方法に注意してください。

というのも配当所得の場合、「総合課税」と「申告分離課税」から課税方法を選択できるのですが、「申告分離課税」を選ばなければ譲渡損失と損益通算ができません。

場合によっては、譲渡損失をあえて配当所得と損益通算せずに、翌期に繰越したほうが有利になることもあります。

このあたりはシミュレーションしてみたほうがいいと思います。

譲渡損失の繰越控除

上場株式等の譲渡損失は、翌期以降3年間にわたって繰越すことができます。

2020年で100万円の譲渡損失を翌期に繰越し、2021年で150万円の譲渡所得が発生したとしましょう。

2021年の譲渡所得150万円には、2020年の繰越控除100万円が適用できるので、譲渡所得を50万円まで引き下げることができます。

繰越控除を適用するにあたって注意すべき点を挙げると、譲渡損失の繰越控除を適用するには、計算明細書をつけて確定申告をしなければいけません。

そのため、「赤字だから申告しない」というのは非常にもったいないです。

もし譲渡損失が発生してしまったときは、確実に申告して損失を繰り越すことにしましょう。

続いて、FXで損失が出たときについて解説します。

FXで損失が 発生したときの税金について

FXで損失が発生したときも、2つの節税対策があります。

海外FXの話も含めると複雑になってしまうので、ここでは国内FXに限定して解説していきます。

1.損益通算

2.繰越控除

FXの損益通算

FXで稼いだ所得は、「先物取引に係る雑所得等」に区分され、同じ所得区分でないと損益通算はできません。

「先物取引に係る雑所得等」に当てはまる取引の例を挙げると、日経225先物取引、日経225先物オプション取引、商品先物取引など、範囲はかなり狭いです。

該当する取引をしていれば損益通算は可能ですが、範囲がかなり限定的ですのでFXで損益通算することは難しいと考えておいた方が良いでしょう。

FXの繰越控除

FXの損失も、上場株式の譲渡損失とおなじように、翌期以降3年間にわたって繰越せます。

FXで繰越控除を適用する場合にも、FXの損失に関する計算明細書をつけて申告することが要件となっておりますので、損失が発生した場合でもしっかりと申告をしておきましょう。

FXはハイリスク・ハイリターンなので、損失が出たときは翌期に繰越し、翌年の節税に備えるべきです。

まとめ

上場株式の譲渡損失およびFX取引で損失が出てしまったときは、損益通算と繰越控除を検討すべきでした。

上場株式の譲渡損失については、配当所得と損益通算が可能で、翌期以降3年間は損失を繰越せます。

一方でFXの場合は、他の所得区分と損益通算はできませんが、損失の繰越は3年間できます。

上記のどちらも、計算明細書をつけて確定申告をすることが要件となっておりますので、ご留意ください。

※当記事は現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。

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