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2018年02月09日

仮想通貨の節税詐欺の被害が急増中!?

はじめに

閲覧いただき、ありがとうございます。仮想通貨の節税詐欺の検索でよく当記事を拝見していただいているようです。弊事務所は経営革新等認定支援機関であるため、経営力向上計画の認定の申請をすることが可能です。認定されれば経営力強化税制を適用し、節税対策をすることも可能となります。安心して節税対策をされたい方はお問い合わせページもしくはお電話にて、お気軽にご連絡くださいませ。

間違った節税方法が出回っている!?

最近急に目や耳にするようになった仮想通貨。テレビCMもよく流れるようになり、広く一般的なモノになってきたようです。

特に有名な仮想通貨はビットコインで「その価値が10倍に跳ね上がった!」なんてニュースも流れ、大儲けすることが出来た人のことを指す「億り人」という言葉も有名になりました。

これまでの仮想通貨取引の世界は、投資の知識や経験の豊富なトレーダーが中心でしたが、広く一般の方に浸透するようになって、2017年後半より「儲かるならやってみよう!」とチャレンジする方も急増しました。

しかしそういった儲け話には落とし穴が付き物なのです。

甘い言葉巧みに、仮想通貨の初心者トレーダーに近づき、その儲けをだまし取る被害が相次いでいます。

ICOによる詐欺やFacebookの広告を利用した情報商材詐欺が流行っていますが、その中でも、税理士でもない人が仮想通貨の節税をうたい文句のビジネスまで出てきています。

その多くの場合は、SNSのDMを利用して、仮想通貨トレーダーに近づき、怪しい会社や人物が勧誘をしてくるのです。

そもそも税務の相談は税理士の資格がなければできません。

無資格で行われている詐欺の手口を以下で解説していきます。

最近頻出している絶対に注意しておきたい詐欺の手口

架空経費の計上によるコンサル会社の手口

仮想通貨の節税コンサル会社と名乗り、仮想通貨高所得者をターゲットに仮想通貨節税セミナーを開催し、集客しています。

その節税詐欺の実態は仮想通貨取引のためのコンサルフィーとしての報酬と引き換えにその報酬金額以上の領収書等を交付するという手口です。

つまり、その領収書を必要経費に算入することにより、所得を圧縮するというスキームです。

仮想通貨に限らず、この手の架空経費の計上は脱税の典型的な手法であり、かなり危険です。

取引の実態がないにもかかわらず、単純に領収書があるだけで経費計上できるほど、節税は甘くはありません。

またこのような詐欺は、コンサル会社が逮捕されると同時に反面調査で関係者に税務調査の対象となる可能性がかなり高くなります。(税務調査対策はこちら

よく、こんなものも経費で落とせます!!みたいなネットで記載されているのは本当に気を付けてください。

はっきり言って集客のために過大に誇張していることがほとんどです。税務調査が入っておらず否認された事例がないから、経費で落とせる!(はず)といえるのです。

安易な節税対策は注意深く疑っていただき、節税の範囲内であるかは税理士にしっかり相談してください。

マイニングPC購入による節税詐欺の手口

国が認可した日本初のマイニングマシン(PC)を購入することによって、仮想通貨で得た利益を事業所得にすることができるため、節税が可能だとうたい近づいてくる手法です。

詳しい説明の前に、マイニングはご存知でしょうか?

マイニングとは、ざっくり説明するとPCのリソースを提供することで見返りに仮想通貨がもらえる仕組です。

仮想通貨は、ブロックチェーンの技術を利用しているため、その取引記録の処理に膨大な追記作業が必要となります。そのため多くのPC(GPU)の計算能力が必要となっており、提供したリソースの見返りとして仮想通貨が支払われる仕組みとなっています。マイニング自体は認められているものですので、マイニングマシン自体は特に問題のあるものではありません。

しかし、このマイニングに特化した非常に高額なPCを買わされることになります。

さて、どういう節税の仕組かというと、『マイニングマシンを購入することによって仮想通貨による所得を事業所得として税金の計算ができます』といったものです。

そもそも仮想通貨取引による損益は所得税上では原則雑所得という区分になっています。

この雑所得は税制上かなり不利な区分で、なかなか節税が狙いにくいのです。

そこでマイニングマシンを購入することで仮想通貨取引を事業として行っている扱いにし、仮想通貨取引の損益を事業所得として計上できるというものです。

一見うまくいきそうにも思われますが、これだけで仮想通貨取引が事業として認められる可能性は低いと言わざるを得ません。

そもそも事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいうとされています。

そのためマイニングマシンを何台か購入した程度では、事業の規模であると判断されることは厳しく、税務調査の際に否認される可能性が高いと思われます。

不動産購入を勧める詐欺

別荘などの生活に通常必要のない不動産の貸付による所得等は損益通算の対象外ですが、一般的な居住用マンションなどの貸付による所得は損益通算が可能です。

つまり、不動産所得の赤字と雑所得である仮想通貨取引の黒字を相殺(損益通算)することができるのです。

これに目を付けた手口が、不動産の取得価額全額を損益通算できると持ち掛ける不動産投資詐欺です。

実は不動産の取得価額が全て即座に費用として認められるわけではありません。

不動産収入よりも必要経費が大きくなり、不動産所得が赤字となった場合にのみ損益通算することができます。

不動産の取得価額は減価償却という手続を踏んで、長期間にわたって経費として認められていきます。

したがって、仮想通貨の取引利益の発生時点と不動産の経費算入時点との時期がズレてしまうのです。

不動産を購入してはみたものの、損益通算を終えるのは何年も先・・・なんてことにもなりかねません。

もしこの方法を利用するのであれば中古不動産など減価償却が比較的短期間に終了し、土地よりも建物価額の割合が多い不動産を利用するとよいでしょう。

また、投資した不動産が土地も込みであった場合、土地取得分にかかる借入金の利子は赤字の場合は損益通算対象外ですので注意が必要です。

さらにいえば不動産所得が赤字にならなければ、意味がありません。

実際に簡単な例を出してみましょう。

・仮想通貨の取引で1億円の利益を得て、1億円の不動産投資をした場合
毎年の不動産収入は100万円、1億円で購入した不動産の減価償却期間が10年だったと仮定し、その他の経費等は省略します。

節税詐欺の手口としては1億円まるまる仮想通貨利益と損益通算し相殺可能といったものですが、さすがに大雑把すぎて引っかかる人も少ないと思われるので、実際の税金計算で検証してみましょう。

すると、1億円÷10年=1000万円が減価償却費となり、毎年900万円の赤字となります。

この場合節税効果は900万円となり、残る9,100万円は課税されてしまいます。

こちらは詐欺ではありませんが、はっきり言って節税としての効果は薄く、さらに不動産投資をローンで払っているとしたら今後その支払いがつきまといます。

税金を払って現金が減ったあとで、ローンの支払いは果たして出来るのでしょうか。

結局のところ、節税効果を狙って不動産投資でわざと赤字を出すくらいなら、不動産投資でも黒字を出した方が収入も増える場合が多いのです。

安易に不動産投資に飛びつくのは危険です。他の節税方法の方がメリットは大きいでしょう。

法人を設立して節税をしよう!

仮想通貨取引の利益を節税するのに効果的といわれているのが法人化です。

仮想通貨取引のための会社を設立してしまおうということです。

仮想通貨取引による利益は雑所得に該当するため、税制上は非常に節税に向かず、一億円稼ぐ方にもなると所得税・住民税あわせて最大で55%程度もの高い税率が適用されてしまいます。

これが法人となると、最大でも35%程度の税率に抑えることが可能となります。

法人化によるメリットはそれだけではありません。

法人税制上、個人よりも優遇されています。

・交際費の計上
あくまで会社運営に関するもの限定ですが、一定額まで交際費を経費処理できます。個人の雑所得では、トレードPC等の取引と直接関係するものは経費処理できますが、交際費の経費処理は認められません。

・繰越欠損金の計上
仮想通貨取引は一歩間違えれば多額の損失を被ります。

個人の所得税では雑所得の損失は損益通算が出来ずに切り捨てられてしまいますが、法人税法上は損失を将来に繰り越し、将来の利益と相殺することが可能です。

これらはほんの一例にすぎず、法人化のメリットはたくさんありますが、一方で法人ならではの費用も発生します。

まず、設立の際に株式会社ですとその登記に30万円ほどかかります。

そして毎年必ず納めなければならない法人の都道府県民税が、地域にもよりますが年間7万円ほど固定でかかります。これは赤字でも支払う必要があります。

こういったデメリットも踏まえると、個人の税率が法人の税率を超えてくる約2000万円の利益を仮想通貨取引で得ているような場合には、法人の設立を検討してもいいと言えるでしょう。

おわりに

今回上げた節税詐欺の例はごく一部です。

税金を安くしたい気持ちはわかりますが、甘い文句には裏があります。
持ち掛けられた話が詐欺ではないか、事実なのだろうか、常に注意して疑いましょう。

安易に信用した結果、脱税の片棒を担いだとみなされては大変です。
節税も間違った知識の元に適用すると脱税とみなされてしまう可能性があります。

仮想通貨の税制はまだ国の対応が追いついておらず、整備しきれていないのが現状です。また前例も非常に少ないのため、租税原則に基づいた判断が必要になってきます。

判断が難しい場面も多く存在しますので、迷ったら仮想通貨に詳しい税理士に相談しましょう。

正しい節税をして、もし仮に税務調査が入った場合でも、胸を張って主張出来るように徹底的に対策しておきましょう!

※当記事は2018年2月7日時点の情報に基づいて記載しております。現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。

ホワイトテック会計事務所
代表 菊地 貴加志

仮想通貨トレーダーの確定申告に特化しており、日本仮想通貨税務協会(JCTA)の認定仮想通貨税理士事務所。仮想通貨分野に精通しており、多くのトレーダーの税務相談を受けている。仮想通貨の節税対策からリスク管理、ブロックチェーンビジネスの支援、ICOコンサルなどフィンテック分野のサービスを主に展開している。

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