ブログ
List of Blogs

2020年11月16日

暗号資産(仮想通貨)の投資詐欺に注意!税金についても解説します。

1.はじめに

暗号資産に怪しいイメージを持っている方もおられますが、実際、暗号資産はボラティリティが高く、それを利用した美味しい話で怪しい勧誘をしてくる投資案件が増えているようです。

実際、暗号資産取引所のbitFlyerではユーザーの資産保護のためとして、「国内外で無登録業者として警告を受けている投資案件に係る預入・送付」「bitFlyerがリスクが高いと判断したアドレスに係る預入・送付」については入出金を制限するなどの措置を行う場合があると発表しており、増え続ける暗号資産を使った詐欺的な案件に対し、事前対応を行う状況となっています。

そこで今回は、少しでも詐欺案件から自身の身を守っていただけるよう、その特徴から税金面を含めた対策までを解説していきたいと思います。

2.詐欺の特徴や事例

暗号資産投資の詐欺案件としては様々なケースがありますが、その特徴としては、

  • 高配当を謳いwebサイト上では資産が増加しているように見えるが、一定期間 経過すると出金制限がかかる。
  • 海外のICO案件に投資をしたが、その後何の連絡もなく、業者にも連絡がつかなくなる。
  • セミナーで勧誘される、代理店から買わされる、著名人の名前を使って宣伝している。
  • 宣伝の内容に「元本保証」「絶対儲かる」や「損はしない」といったフレーズが出てくる。
  • 儲からないリスクについての説明がない。

といったことが挙げられます。

投資の世界には冷静に考えれば詐欺のような怪しいセミナーやスキームが多数存在するため、いわゆる楽して稼げるといった内容の話には警戒が必要です。

また、最近の事例としては、プランスゴールド(PGA)というアービトラージにより月利15~20%の高配当を受け取ることができるという投資案件が出金停止となってしまい、騒がれています。

3.詐欺か疑わしかったら

暗号資産の取引を行う上で、詐欺に遭わないように自己防衛することは非常に重要です。

情報収集

まずは詐欺と言われているようなコインに手を出さないよう、しっかりと情報収集をしましょう。肝心なのは自分に都合の良い情報ばかりを集めないで、批判的な意見にも耳を傾けるべきです。

最近では、SNSやブログなどで様々な 暗号資産(仮想通貨) の情報を得ることができます。

もちろんインターネット上の情報が必ずしも正しいとは限りませんが、少ない情報よりは様々な角度から情報を収集し、その暗号資産(仮想通貨)が信頼できるものかどうかを冷静に自己判断することが大切です。

次に重要なのは、信頼のおける交換業者を利用するということです。

暗号資産の取引を行う交換業者は、金融庁の認可を受けなければなりません。

暗号資産交換業者としての登録および登録業者が取り扱う暗号資産は、金融庁のホームページで確認することができます。

▼金融庁HP「暗号資産交換業者登録一覧」

https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf

実際、金融庁や消費者庁のホームページでは、無登録で暗号資産交換業を行う者による詐欺的な投資勧誘やトラブルに対する注意喚起がされており、暗号資産の取引を行う場合には、金融庁に登録された交換業者で金融庁の指定を受けた種類の暗号資産を利用する方が安心と言えるでしょう。

▼一般社団法人日本暗号資産取引業協会HP「苦情相談・お問い合わせ」

https://jvcea.or.jp/contact/form-contact/

怪しい業者や怪しい暗号資産と疑わしいものがあった場合にはこちらに情報を提供したり、相談することができます。

4.詐欺被害にあった場合の税金の取り扱いについて

詐欺は税金の必要経費として計上できない

詐欺で損をしたのだから、その損失を投資の利益から差し引いて確定申告をしたいと考える方は多いようです。

実際に損をしているのだからそういった気持ちになるのはわかりますが、税法上、詐欺による損失を利益から差し引くことはできません。

詐欺による、つまり、売買によるものではない損失を利益から差し引けるとすれば、所得税法上は「雑損控除」という制度が考えられます。

しかし、この雑損控除として差し引くことができる損失は、「災害」「盗難」「横領」による損失に限定されていて、詐欺や恐喝の場合には雑損控除を受けることはできません。

このことは国税庁ホームページにも明記されています。

▼国税庁HPタックスアンサー「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm

※ただし、これらは個人として取引をした場合の取り扱いで、法人として暗号資産の取引をした場合は考え方が異なります。

つまり、詐欺に遭う前に利益が確定していると、詐欺で手元のお金(暗号資産も含め)は減っているにもかかわらず、確定した利益分に対してきっちりと税金がかかってしまいます。

そうなると無い袖は振れないため、もうどうすることもできずに自己破産を考える方も出てきますが、ここで注意していただきたいのは、自己破産をしても税金は帳消しにならないということです。

税金を払えない場合

自己破産をすればすべての債務が帳消しになると思っている方もいるようですが、破産法では、非免責債権といって自己破産をしても免責されない債権が規定されており、税金はこの非免責債権に含まれています。(破産法第253条第1項)

そのため税金については、例え自己破産をしても未納分が無くなるまで将来に渡って納め続けなければなりません。

そのようなことにならないためにも、投資をする際には、税金分だけは日本円に換金して出金しておくなどの対策をしておかれることをオススメします。

5.最後に

投資は自己責任といわれていますが、数多くの被害者を見ていて少しでも皆様の気づきになればと思い、発信させていただきました。

特に「2.詐欺の特徴」で挙げたような内容に該当する場合には、一旦冷静になってしっかりと情報収集をし、自己防衛できるようご注意ください。

弊所ではスポット税務相談も承っておりますので、お困り事がございましたらお問い合わせページからご連絡ください。

※当記事は現時点で判明している法律・通達等に基づいて記載しておりますが、正確性等を保証するものではございません。当記事を参考に何らかの行動をされる場合は、管轄の税務署・税理士をはじめとする専門家にご確認ください。

お気軽にお問い合わせください。
受付時間 9:00-18:00
[ 土・日・祝日除く]
お問い合わせはこちら