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2018年01月27日

仮想通貨の時価暴落によって、税金が払いたくても払えない場合の対処法とは!?

当事務所作成の記事が「COIN TOKYO」に掲載されました。

仮想通貨の税金納付にお悩みの方は、是非ご覧になってみてください。

仮想通貨の時価暴落やコインチェック問題で前年度の税金が払いたくても払えない場合の対処法とは!?

仮想通貨が暴落するとどうして税金が払えなくなってしまうの?

2018年1月17日、仮想通貨の価値が暴落しました。

なかには2017年度(2017年1月1日~2017年12月31日)の利益確定分を再投資してしまい、納税するための現金までも失ってしまった人も多かったのではないでしょうか。

例えば2017年度に1億円の利益を確定した場合を考えてみましょう。

仮想通貨取引で支払うべき税金は所得税と住民税です。(便宜的に復興特別所得税等の細かいものは省略します)簡便的な計算をすると、最大で所得税45%、住民税10%の合計55%となります。

つまり1億円×55%=5,500万円の税金を納める必要があります。

この1億円について、年明けに全額再投資した結果、仮想通貨の価値が60%下落してしまったとします。

そこで損切した場合、残る現金は1億円×(1-60%)=4,000万円になります。

2017年度分の税金として5,500万円を支払うべきですが、現金が手元に4000万円しかないため残りの1,500万円分の税金を支払うことができません。

なおここでいう利益の確定とは、現金に換金したことのみならず、アルトコインへの変換もその時点の時価で売却したとみなされ利益が確定してしまう点に注意しましょう。

つまり長いことビットコインを保有してからアルトコインに変換した場合、その期間中に時価が上昇した分については課税対象となってしまいます。

仮想通貨の不正アクセスに注意

仮想通貨取引はMt.Gox事件に代表される仮想通貨の不正アクセス盗難被害が過去に発生しています。

2018年1月26日にもコインチェック取引所において推定580億円相当のNEMが不正流出してしまい、売買取引や入出金を制限している状態です。

コインチェック取引所の顧客への補償は明らかになっておりませんが、最悪の場合も想定しておく必要があります。

このように「払いたくても払えるお金がない!!」という方も多いのではないでしょうか。

そこで、もし税金が支払えなくなってしまった場合、どのような流れになるのか、またどのような対応策があるのか、解説していきます。

先延ばしは絶対にダメ

大損でせっかくの儲けも水の泡。

考えたくないし、目をそむけたくなる気持ちもわかります。

しかし、そんなときこそきちんと向き合いましょう。

税金を支払わずにいると、最悪の場合、国から財産の差し押さえをされてしまいますので、必ずいつかは支払わなくてはなりません。

しかも税金は無視、先延ばし、放置・・・などしていると延滞金がどんどん加算されていきます。

出来るだけ早く対応することが被害を最小限に留めるポイントです。

免除や猶予の制度が利用できるもの

まず、国民年金保険は免除制度があります。

支払うことが難しい場合には年金手帳を持ち、近くの役所に相談にいきましょう。

ただし、国民年金は支払った金額に応じて将来の年金支給額が決まる仕組みになっていますので、免除された分だけ将来の年金支給額が減少することになってしまうデメリットがあるので注意しましょう。

この場合、あとからさかのぼって支払う追納も可能なので、余裕が出来たら支払うことでデメリットを解消できます。

次に国民健康保険も、所得が減ったことを理由に減額できる場合がありますので、国民年金保険同様に役所に相談に行きましょう。

そして税金には振替納税、延納、換価の猶予、納税の猶予の制度があります。

振替納税

振替納税とは預金口座からの口座引落しにより自動で税金を引き落とす方法に変更する手続です。

口座引き落とし日は通常の支払期限よりもだいたい1か月ほど遅く設定されていますので約1か月の猶予が得られます。

税務署にいって手続をしましょう。

振替納税ですと振込に行く手間も省けるのでお勧めです。

延納

納税額の半分以上を納税期限までに支払っておくことで、税務署に申請をすると残りの納税額の支払期限を5月末にまで延長することが出来ます。

約2か月の猶予期間が得られるということです。

なおこの場合は延納した期間の分だけ利子税がかかります。

利子税は年「7.3%」と「特例基準割合」のいずれか低い割合となっています。

換価の猶予

税金を期限までに支払うことが出来ず、督促状の送付を受けてもなお納付されない場合には財産の差押えなどの滞納処分を受けることがあります。

この場合に原則一年以内の期間で税金の支払いや財産の差押さえを猶予する制度が換価の猶予です。

一定の要件を満たすことで換価の猶予の制度を利用することが出来、換価の猶予を適用すると延滞税の一部が免除されます。

しかし最終期限までに毎月税金を分納することが必要になります。

換価の猶予の制度の利用を検討している場合にはお早めに税務署へ相談にいきましょう。

納税の猶予

納税の猶予とは、災害、病気、事業の休廃業、著しい損失を受けたことや盗難にあった場合などによって国税を一時に納付することができないと認められる場合や、本来の期限から1年以上経って納付すべき税額が確定した国税を一時に納付することができない理由があると認められる場合に、申請に基づいて納税が猶予される制度です

要件を全て満たした場合に限り、原則として1年以内の期間に限り納税が猶予されます。

その要件全てを満たすのはなかなか厳しいですが、結局のところ猶予の制度を利用できるかどうかは税務署の判断によりますので、支払いが難しいと思ったらすぐに税務署に相談にいきましょう。

これはあくまで猶予ですので、あとで支払わなくてはならないことは変わりません。

しかし、猶予制度を利用すると延滞税の全部または一部が免除されるというメリットがあります。

不正アクセス被害に雑損控除は使えるか

冒頭でもお話しましたが、仮想通貨の取引には不正アクセスによる盗難被害に注意する必要があります。

もし仮に不正アクセスによる盗難被害に遭われてしまった場合、所得税の確定申告では雑損控除という制度が認められるかについては見解がわかれています。

雑損控除とは災害や盗難などによって資産に被害を受けた場合に所得を減額し税金を減らすことが可能になる、所得控除の一種です。

控除しきれない場合にも3年間を限度として繰越控除ができるので、適用することができれば救済措置としてのメリットは大きいです。

ただし雑損控除の要件の一つに、「生活に通常必要でない資産に該当しないこと」というものがあり、仮想通貨はこの要件を満たさない可能性があります。
実態に応じて適用できるか判断が異なりますので、まずは税理士や税務署に相談にいきましょう。

税金が払えなくなることを避けるためにやっておくべきこと

仮想通貨のトレードは、資金を元手に利益を出していくビジネスの一種と考えましょう。

仮想通貨トレードにおいても一般的な会社経営と同様に、ご自身の財務状況・経営成績を把握することが非常に重要です。

利益が出ているのか、損が出ているのか、把握しておくことで税金を支払うための資金を前もって準備しておくことが出来ます。

例えば、以下のようなことに留意してください。
・トレード損益を把握する
・納税資金を確保しておく
・トレード資金とプライベートのお金を区分して管理する

トレード損益を把握する

週次、月次など適当なタイミングでトレード損益を把握しましょう。

取引量の少ない方であれば月次でもかまいませんが、取引量が増えてくると出来るだけ短い期間で適時にトレード損益を把握しておきたいところです。

一つの取引所で数回程度のトレードであれば、あまり意識しなくてもある程度正確な損益状況を把握できると思います。

最初のうちはそれでもよいのですが、多くの取引所を利用するようになり、送金・アルトコイン間の交換などをするようになってくると、どのくらい利益が出ているのか正確にはわからなくなります。

トレード損益を管理するために今では仮想通貨の損益計算ツールも無料で提供されています。

これを利用して最低でも月に一度はトレード損益の状況を把握しましょう。

納税資金を確保しておく

納めるべき税金額を事前に試算し金額を把握しておきましょう。

この税金分は再投資しないで別に取っておくことで税金の支払いが出来なくなるという事態に陥ることを避けることが出来ます。

仮に再投資した場合には損切ポイントを決めておきましょう。

税金分の現金が残るように損切ポイントを指値で注文しておけば、大幅下落が来た場合でも売り遅れることはありません。

これらは前述したトレード損益の把握が前提となっています。常にトレード損益を把握しておくことで、あらかじめ税金を試算しておくことができます。

冒頭で計算した1億円の利益が確定した場合にあてはめると、簡便的に計算した税金が5,500万円と試算されたため、安全に再投資してもよいのは残りの4,500万円までであるということがわかるわけです。

確定申告さえ税理士に依頼すればよいと考えてしまいがちですが、普段から仮想通貨に詳しい税理士に相談しておくことで、いざというときに深刻な事態になることを防ぐことが出来ます。

トレード資金とプライベートのお金を区分して管理する

トレード資金とプライベートの預金が混ざってしまっていると損益状況が分かりにくくなってしまいます。
区分管理し、いくら元金として投資しているのか把握しておくことが大切です。
プライベートの預金と仮想通貨取引所の預金の出し入れをエクセル等で管理しておくことが大切です。

また管理がしやすいからといって、一つの取引所にずっと現金や仮想通貨を保管しておくこともオススメしません。ハードウォレットや他の取引所に分散して、あらゆるリスクを低減させましょう。2018年1月26日のコインチェック不正流出問題のようなことが今後も起こる可能性は非常に高いです。資金管理も適切に行いましょう。

おわりに

仮想通貨は値動きが激しい商品です。

暴騰があれば暴落もあることを忘れないでください。

ご自身を守るためにも適切な投資計画を練ったうえでトレードをしていきましょう!

(なお当記事は2018年1月27日現在の状況に基づいております)

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